心因性咳嗽
心因性咳嗽の病態
心因性咳嗽は心的要因が原因となり出現する症状です。小児・学童期に多く認めますが、ストレスの多い現代社会では、成人でも稀な疾患ではなくなってきました。本来、呼吸(咳)と感情は関連性が高く、心因性咳嗽は、「心理生理的メカニズムにより、発作的または連続的に起こる乾性咳嗽」あるいは「長期間続く乾性咳嗽で器質的所見が認められず、心理社会的条件によって症状に消長がみられるもの」と定義されています。
心因性咳嗽の診断
診断は除外診断が基本となります。肺癌や結核、気管支喘息など様々な器質的疾患を除外することが必要です。そのためには多くの検査が必要となりますが、詳細な問診などにより早期に発見することが可能となる場合もあります。意識が集中している時や睡眠中の症状消失は診断の手がかりの一つとなりえますが、急性気管支炎や感冒後に心因性咳嗽が出現することが多いため、診断に苦慮することが多い疾患です。
心因性咳嗽の治療
まずは、患者さんとともに、咳の原因として器質的疾患が無いことを共通認識することが重要です。怖い疾患が隠されていないということだけでも、安心感が生まれ症状が改善する場合があります。一般的な咳止めや気管支拡張剤は無効です。治療の基本は薬物療法と心のケアが中心となります。心因性症状が長期にわたる場合は精神的な専門治療が必要となることがあります。その場合は、肺癌や結核など器質的疾患をしっかりと除外した後に専門施設(心療内科など)へ御紹介させて頂きます。