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新型コロナウイルス感染と気管支喘息 2022/2/28更新

[2020.07.25]

コロナ感染の拡大が深刻化しています。重症化率も上昇しており、十分な注意が必要です。

元々、コロナウイルスは通常の風邪の原因となるウイルスですが、変性したのが今回の新型コロナウイルスです。慢性呼吸器疾患や高血圧、糖尿病などがあると重症化しやすいとされています。一方、気管支喘息の患者さんは新型コロナにかかりにくい可能性が示唆されています(重症化率は健常人と変わりません)。その理由としては、研究レベルではありますが、新型コロナウイルスが気管支の上皮細胞に侵入する際に結合する分子(ACE2)の発現量が、喘息では低下しているために感染しにくい可能性が示唆されています。ちなみにタバコを吸うと同分子の発現量が増大します(だから喫煙者は新型コロナにかかりやすいのかもしれません)。ちなみに子供はACE2の発現量が少ないので、感染しにくいと思われます。

気管支喘息治療薬の吸入薬(レルベア、シムビコート、アドエア、フルタイド、パルミコート、 オルベスコなど)が新型コロナへの感染リスクを高めるのではないかと危惧する患者さんもいるかもしれません。しかしながら、吸入ステロイドは先述したACE2タンパクの発現量を減少させるとの論文が発表されており、少なくとも罹りやくすなることはないと思われます。これらの薬剤は喘息の治療におけるKey drugであり、かぜやインフルエンザなどの感染症時の喘息悪化を防ぐために継続使用することが重要です。自己判断での吸入薬の減量・中止はしないようにお願いします。

不適切な治療薬の減量・中止は気道炎症を再燃させ、喘息状態を悪化させることになります。喘息増悪により不定期受診・救急外来受診や入院のリスクが高まります。そのような際に新型コロナウイルス感染症の患者さんと接触する危険性もありますので、適切に吸入ステロイド薬を中心とした薬剤で喘息のコントロールを良好に保ち、発作を予防することが重要です。

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