妊娠喘息
最近の気管支喘息患者さんの増加に伴い、妊婦さんで喘息発症・増悪する方が増えてきました。
疫学的には妊娠12-20週頃に喘息状態の変化が認められることが多く、1/3は改善、1/3は不変、1/3は増悪してしまいます。綺麗に3つに分かれるのですが、はっきりとした原因は未だに不明です。
妊娠をしますと、どうしても薬を使用することが不安になると思いますが、喘息治療に関しては知っておいた方が良い点があります。喘息は呼吸が苦しくなる病気ですが、妊婦さんが喘息発作になり苦しくなるとお腹の赤ちゃんも苦しくなってしまいます。そのため、喘息治療をしっかり行った方が母子ともに望ましいことがわかっています。不十分な喘息治療となってしまうと周産期異常の頻度が上昇することが大規模な検討結果からも判明しています。また最近の検討結果では妊娠中にきちんと喘息治療したお母さんから生まれてきた子供は喘息になりにくいとの結果も出ています。もちろん、不要な薬剤を漫然と使う必要はありませんが、より安全でより有効な薬剤を使用することが重要です。
加えて、風邪の原因となるウイルスの中にRSウイルスというものがあります。RSウイルス感染は風邪症状から気管支炎・肺炎まで様々な病状を呈しますが、新生児・乳幼児時期のRSウイルス感染は気管支喘息発症のリスクが高まることが指摘されています。近年、妊婦にワクチンを接種することで胎盤を介して胎児に抗体を移行させて乳幼児のRSウイルス感染を防御するワクチン(アブリスボ)が使用できるようになってきました。親が喘息の場合、遺伝的要素の関連もあり子供が喘息を発症する頻度は高いのですが、妊婦さんが妊娠中にアブリスボを接種することにより子供の喘息発症のリスクを軽減させることが期待できますのでご検討ください。
不安な点が多いとは思いますが、自己判断はできるだけ避けて相談してください。お願いいたします。
2025/10/2更新2025
